OLYMPUSの目指した小さな世界

2020.08.12

皆さんこんにちは。

EZO CAMERAスタッフの大江です。

 

先日心配なニュースがありました。

「OLYMPUSがカメラ事業を売却」

OLYMPUSといえば言わずとしれたカメラメーカーで、「宇宙からバクテリアまで」「ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ」など、印象的なキャッチコピーで、特に小型軽量カメラ、医療カメラの分野で第一線の活躍をしているメーカーです。

OLYMPUSの名前は残るようですが、これからも同じ路線で事業を展開していくかは不透明…

今のうちにOLYMPUSについて学び、興味が出たら是非OLYMPUS製品を使って見てくださいね!

 

OLYMPUSの歴史

OLYMPUSは1919年、顕微鏡メーカーの「高千穂製作所」として歴史をスタートしました。

顕微鏡メーカーとして成功を収めた後、「OLYMPUS」の商標を登録し、現在まで続く写真用レンズ「ズイコー」を開発して、写真業界にも参入していきます。

その後は世界初の胃カメラを開発するなど、医療機器メーカーとしても業績をぐんぐん伸ばして組織を大きくしていき、現在も医療機器でトップを走る企業となるに至ります。

OLYMPUSは昔から「小さい」ことに目を向けたメーカーですね。

OLYMPUSが生み出した「小さい」の数々を見てみましょう!

 

OLYMPUSが生み出した傑作カメラたち

OLYMPUSが作った最初の「小さい」カメラはOLYMPUS PENです!

OLYMPUS PENシリーズの定番「EE」

画像は後継機種、自動露出搭載のOLYMPUS PEN-EEです!

PENシリーズは「ハーフサイズカメラ」と呼ばれ、フィルムを通常の半分の大きさで使うことによって、36枚撮りフィルムなら72枚撮れてしまうというなんとも経済的(?)なカメラなのです。

特筆すべきはその大きさで、大人の男性なら手のひらにすっぽりと収まってしまう大きさ(厚みこそありますが)で、レトロな見た目も相まって今も人気があります!

PENシリーズはコンパクトカメラだけではなく、レンズ交換式でも発売されます。

レンズ交換式ハーフサイズカメラ「PEN F」シリーズです。

写真は露出計搭載の「PEN FT」で、フォルムは初代のPEN Fとほぼ同じ。

PEN Fシリーズのすごいところは、このフォルムでありながら「一眼レフ」であることです。

このコンパクトな筐体の中に、プリズムやミラーがしっかりと組み込まれているんです!

シャッターフィーリングもとても良く、チープな感じは全くありません。

しかも写真のFTはフォルムの変更はほぼ無く、露出計を搭載していて中古市場では今でも高価です。カメラ買取の際は、露出計が動いているととても高価査定になりますよ!

 

続いてはOMシリーズ!「OM-1」をご紹介します。

…ん?軍艦部の表示が「M-1」じゃないか?

そこに気づくとは鋭い!

実はこちらは「OLYMPUS M-1」。中身はOM-1と一緒なのですが、OM-1は当初「M-1」の名前で販売されていました。

(「M」は、PENシリーズ、OMシリーズの設計者米谷美久さんのイニシャルから取ったとかそうじゃないとか…。)

ところが!「M」シリーズと言えば、人気カメラMシリーズ擁するライカがあります。

商標的にまずい…ということで、急遽OLYMPUSのOを冠した「OM-1」となり、後々シリーズ化していきます。

「M-1」は初期ロットの5000台しか存在しないと言われており、中古相場でも高値で取引されています。

OMシリーズは、一眼レフの中ではとにかく小さく軽い!

Nikon F2とOLYMPUS OM-1

NikonのフラッグシップカメラF2と比べるとこの通り!

一回り以上も大きさが違います。

重さも首から下げていると半分以下なんじゃないかと思うほど軽く、天才設計者と呼ばれる米谷氏のこだわりが見て取れますね!

一眼レフの三悪「大きく」「重く」「ミラーショックが大きい」を解消したかったと米谷氏は語ったといいます。

フィルムを巻き上げ、シャッターを切ってみると、機械的な「カシャン!」という音というよりも「コトン」というような優しいシャッター音で、手の中で動くかわいい小動物のようなカメラです。

OLYMPUSはこの他にも「TRIP35」や「μ(ミュー)」「XAシリーズ」などコンパクトカメラ分野でも人気を獲得し、トップメーカーにも負けるとも劣らない実力者となっていくのです。

 

デジタル時代のOLYMPUS

このPENシリーズ、OMシリーズは、デジタルの時代になってからも続いています。

 

デジタルOM!「OM-D E-M5 Markii」

デジタルPEN「PEN E-PL1」

どちらのシリーズもフィルムからのスタイリングを保ったままデジタル化していて、大きさもデジタルと考えれば十分に小型軽量!

マイクロフォーサーズマウントを採用しており、ここでも「小さい」マウントを採用することで拡張性やボディ内手ブレ補正などを安価で提供するなど、ユーザーに寄り添った展開を見せてくれています!

OLYMPUSのデジタルカメラは青の発色がとてもきれいで「オリンパスブルー」と言われており、とても深く印象的な青に仕上がります。

最新機種は手ブレ補正も強力で、約一秒のシャッターでも手ブレを防いで撮影が可能!と言われています。

他にも耐寒、耐水に優れた「TG TOUGH」シリーズはどんな状況にも耐えられるカメラとして、冒険家から工事現場の監督まで、幅広い職種や趣味の方に愛されているシリーズです。

 

「小さい」がもたらしてくれる恩恵を今こそ噛み締めよう!

このように、オリンパスは必要な機能を追い求めるあまりに大型化していったカメラの歴史の本流とは別の流れの中で、静かにその立ち位置を獲得していったカメラメーカーです。

フィルムカメラであれば、同じフィルムを使用している限りはその性能を左右するのはレンズの性能です。

OLYMPUSはその光学技術を活かしたズイコーという素晴らしいレンズ群を持っています。必要十分なボディの機能さえあれば、他社の大型カメラと同じか、それ以上の写真を作り出すことが出来たのです。

デジタル時代においても、マイクロフォーサーズマウントの採用により、自社だけでなく、Panasonic社の作るライカレンズなどを使用できるなど選択肢が広く、またフルサイズ用の設計では100万円を超えるようなスペックの超望遠レンズでも、その三分の一程度の価格で販売出来ることも強みの一つです。

マウントアダプターを介してフルサイズ用のレンズを装着すれば焦点距離は二倍になり、超望遠のその先を目指すことも出来るのです!(?)

 

日本が誇る小さなカメラ、中古でフィルムを楽しむもよし、新品でデジタルカメラのオリンパスブルーを楽しむもよし!

ぜひ手にとって見てくださいね!

 

OLYMPUSのカメラ事業はきっと同じ志を持った事業者が引き継ぎ、OMやPEN、ズイコーの素晴らしいラインナップをこれからも続けてくれることを祈ります。

 

 

 

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